腰痛の患者さんがよく口にされる話として、「反り腰」や「腹筋が弱いから」というものがあります。

もちろん、そうした説明が当てはまる方もいます。
ただ私自身が、その2点を主な原因として考えたことがあまり多くありません。

今回は、一般的によく知られている「通説的な反り腰と腹筋の話」と、
それとは少し違う、私がよく見かける腰痛の一つのパターンについて、整理していきます。

 

「腹筋と反り腰」のシリーズは本編3本とおまけの1本の予定です。

 


今回は第二回目 「私の違和感について」

第一回目では、一般的に語られている「反り腰と腹筋」の考え方を確認してきました。

反り腰は骨盤の前傾と腰椎前弯の増強として捉えられること

腹筋の弱さや体幹の安定性がその一因として説明されることが多い

というのがまとめでした。

では、私がどのような違和感を感じてきたのか、
その話をしてみたいと思います。

 

腹筋が弱って、骨盤が前傾する?

まず一つ目は、「腹筋が弱くなることで、骨盤が前傾する」という説明についてです。

私自身の体験や、これまで多くの方の体を見てきた中で、
腹筋が弱ったことが直接のきっかけとなって骨盤が前に傾いた、
と感じられるケースに、あまり出会ってきませんでした。

 

私が日常でよく耳にするのは、
「最近、運動不足だから腰が反ってきた」という話よりも、
「運動不足で姿勢が丸くなってきた」という話です。

そう考えると、単純に「腹筋が弱ると骨盤が前傾して反り腰になる」と説明してよいのだろうか、という疑問があります。

腹筋の働きが姿勢に関係することは理解できますが、
それが単独で骨盤の位置を決めている、という実感は、正直なところあまりありません。

 


反り腰=お腹が前に出る、とは限らない

二つ目は、体型との関係です。

一般的な説明では、反り腰による腰痛は、
「お腹が前に出ている姿勢」としてイメージされることが多いようです。

ところが実際には、

痩せ型で、お腹が前に出ている印象はなく、

それでも「反り腰が原因」と言われている。

そうした方を、臨床では何度も見てきました。

この点でも、説明と実際の体の状態がうまく重ならない感覚があります。

 


解剖学的に見ると、腰椎は反っているのが自然

もう一つ、別の視点から私が引っかかっていた点があります。

解剖学的に見ると、腰椎はもともと前にカーブした構造をしており、
反っていること自体は自然な状態とされています。

立っていても、仰向きで寝ていても、腰椎のカーブが完全になくなるわけではありません。

そう考えると、
「腰が反っている」という状態そのものが、

すぐに異常や原因と結びつくのかどうか、少し整理してみる必要があるように感じます。

「問題のある反り方」と、「問題の無い反り方」があるのではないか。

その違いをどのように、測るのか。

腹筋と反り腰について話を進めていくのには、この違いを区別することが重要になってくるのではないかと考えています。

 


まとめとしての違和感

こうした点を重ねて考えると、
一般的に語られている「反り腰と腹筋」という枠組みと、
私が日々見ている腰痛の方々の状態とが、
少し違っているように感じることが多くあります。

もちろん、その説明が当てはまる方もいます。

ただ、
腰痛の多くを反り腰で説明するのは、少し難しいのではないか
そんな違和感を、私は臨床の中で持ち続けてきました。

次の記事では、この違和感を踏まえたうえで、
私が腰痛を見るときに一つの手がかりとしている視点について書いてみたいと思います。